DWATのトリセツ Vol.1「DWATってなに?~災害時、あなたの生活を守るチーム~」

地震や大雨などの自然災害が起きた時、まず必要なことは「命を守る」ことです。

しかし、避難後も電気やガスのインフラが停止したり、家屋の倒壊や浸水によって、今までの生活に戻るには多くの時間がかかります。そのため、避難生活の中で体調を崩したり、生活が難しくなる人がいます。

そういった人たちの生活を支える福祉の専門チームが「DWAT」です。

今回は、DWATとは何かを、初めての人にもわかりやすく説明します。

 DWAT (Disaster Welfare Assistance Team)とは、災害が起きた時に避難生活をしている人々の困りごとや心身の悩みに対して福祉的な支援を行う災害派遣福祉チームです。

そして、DWATの目的とは、

二次被害として、以下のような問題が考えられます。

・避難生活における体調の悪化

・適切な介護を受けられないことによる、介護状態の重度化

・医療や福祉を受けられないことによる災害関連死

こうした問題を防止するために、避難生活をする人々の生活を支える存在がDWATです。

DWATは、平成23年(2011)の東日本大震災を契機に災害時における福祉的支援の必要性が議論され、その後各県で独自の取り組みが行われるようになりました。そして、平成28年(2016)の熊本地震の際に本格的な活動がスタートし、令和6年(2024)の能登半島地震までには全国でDWATが配置されるようになりました。

このように、被災地での様々な問題に対して、福祉的支援を必要とする人が増えていることがわかります。

DWATは災害時に自力での避難や生活が困難な要配慮者を対象とします。例えば、

・高齢者

・障がい児・者(身体・知的・精神等)

・乳幼児

・子ども

・妊産婦

・その他、災害時に避難などが困難な方

加えて、生活環境の変化により支援が必要な方といった、これまで福祉的支援を受けてきた人だけでなく、災害によって福祉的支援を必要になった人にもDWATの対象になります。

DWATの活動場所として一番イメージしやすいのは、避難所だと思います。

避難所には主に2種類あり、DWATはこれら避難所において福祉支援を行います。

・一般避難所(被災者が一定期間滞在する場所であり、一定の生活環境を確保するための避難所)

・福祉避難所(一般避難所などで生活することが難しい要配慮者が心身の状況に合わせて安心して生活できる施設)

しかし、DWATの活動は避難所だけとは限りません。

2025年からはケアの場を避難所だけにとどまらず、車中泊や在宅避難をしている人に広げ、地域全体の生活を支える体制へと発展しています。

DWATでは介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士などが様々な福祉のプロフェッショナルが活動しています。

チーム員の方々は、普段は高齢者施設や障がい者施設、保育園などで働いており、災害が起きた際にDWATとして被災した地域に派遣されます。それぞれの福祉的な専門性を生かしながら、被災者を支えます。

また、チーム員には事務員もおり、現場で働くチーム員の方を支えています。

災害が起きた時、様々な困りごとが発生します。

・高齢者や障害児・者等が環境の変化により介護が必要

・環境変化により子どもの心身が不安定

→環境の変化による心身のストレス

・食物アレルギーへの不安

・食料の制限による栄養素の偏り

→脱水や身体機能の低下を引き起こす

・更衣できる空間がない

・手洗いや入浴ができる環境がない

・土足生活による感染症リスクの増加

→感染症のリスクや衛生環境の悪化による体調不良

・集団生活でのストレス

・家族の死

→PTSD、ノイローゼなどの心身の不調を引き起こす

・仕事の再開、復帰

・育児、保育困難

・家屋や財産の損失

→復興したとしても、生活を立て直すことが困難

被災地での困りごとには一人ひとり異なり、時間とともに変化します。

では、こうした困りごとにDWATはどのような支援を提供しているのでしょうか?

DWATは被災者の個別性を理解した伴奏型の福祉的支援を行います。「福祉」と聞くと高齢者や障害者の介護をイメージする人が多いかもしれません。もちろん、そうした活動もありますが、DWATはより広く要配慮者の生活を支えています。代表的な活動には次のものがあげられます。

令和6年能登半島地震での活動の様子

最初に行うことは、被災者の相談支援と情報収集です。被災地の行政などが持つ情報や巡回を通して、要配慮者や支援が必要な人がいるかを確認します。困っている人を見つけることで、困りごとを抱える人の個別性に配慮した支援をスタートすることができます。

(例)

・支援対象となった方のアセスメントを実施し、対応策の作成を検討する

・定期的な巡回等を行い、必要に応じて相談や対応する

・地域に戻っても円滑な支援が受けられるよう関係者への引継ぐ

災害時、できるだけ良好な環境をコーディネートすることもDWATの役割です。避難所におけるプライバシーの確保や感染症拡大防止のための衛生管理、バリアフリー化を検討することによって、被災後の生活での健康だけではなく、個人の尊厳を守ることにもつながります。

(例)

・障害者も含めた誰もが使いやすいユニバーサルデザインのトイレの設置

・子供のストレス軽減のための遊びコーナー、学習コーナーの確保・運営

・女性用品(生理用品・下着等)の女性担当者による配布

生活支援は社会福祉士や介護福祉士、保育士等の専門性を発揮し、避難生活に伴う心身機能低下といった二次被害を防止します。入浴・食事・排せつといった日常的なケアはもちろん、被災者への情報提供や普段はケアの必要のない方へも被災時のストレスケアを行う場合もあります。

(例)

・介護が必要な方への介助士の手配やチーム員による介護

・定期的な情報発信に加え、情報格差を防止するための個別対応

・地元の支援関係者も被災者であることを認識し、ストレスの軽減に向けたサポートの実施

DWATとして活動するためには、被災した地域や他のチームとの連携は必要不可欠です。要配慮者の抱える負担に配慮したうえで、他の保健医療福祉チーム等と連携します。それだけではなく、地元支援者や災害系のNPO法人、地域住民等とも連携することで、被災直後から復興期、その後の生活を切れ目なく支援することができます。

(例)

・医療的支援が求められる際にはDMAT(災害派遣医療チーム)に情報共有

・慢性疾患(糖尿病等)により栄養管理が必要な方に対して栄養士との連携

・DPAT(災害派遣精神医療チーム) やこころのケアチーム等と連携し、精神的支援を行う

山梨DWATパンフレットより引用

このような、一人ひとりに寄り添った支援が高齢者、障がい者、乳幼児といった要配慮者の生活を支える一助となります。

避難生活による「二次被害」を防ぎ、これからの生活につなげる支援がDWATの役割です。


では、被災した際にDWATはどのような流れで活動するのでしょうか?

次回は、災害が起きてから、支援が終わるまでの流れをわかりやすく紹介します。